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上村松園展

上村松園展

東京国立近代美術館にて、10月27日(日)まで。過去最大級の回顧展とのふれこみです(公式ページより)。昼過ぎに行ったところ、年配の方を中心にかなりの人でした。

本展でとてもよかったのは、各作品の制作年と共に当時の彼女の年齢が表記されている点です。年齢と共に変わってゆく作風を、大変興味深く鑑賞しました。

まず若いころの作品。溢れんばかりの才能に恵まれた画家が、実に真摯な態度でひとつひとつの作品に取り組んでいる印象です。人物の表情は写生に裏付けられているのでしょう、みずみずしく豊かで、かつ細やかです。余談ですが若い頃の作品をざっと見て、「27歳頃何か転機となる事があった?」と感じました。年譜を見るとこの年に長男の松篁が生まれているのです。俺すげー。漠然とした感じで、言葉に表わせるものではないんですが。。

さて、魅力的な若い頃の作品に比べると、40代あたりの作品からはなんとなく色褪せた感じを受けました。そして60代の作品。この頃は多作だったのか展示の数も多く、いずれも格調高く、値段も高そうです。が、描かれている顔はどれも金太郎アメのように同じ!格調高いってそういうことなのかしらん・・・60代の終わりに描かれている「静」などは前から好きな絵でしたのであまり悪く言うのもあれなんですけど。この点に関して付け加えるなら彼女が59歳の時、大きな支えであった母が亡くなっているそうです。その事が彼女にどのような影響を及ぼしたのか、それは私にはわかりません。

逆に70代の作品になると何か突き抜けたような、朗らかさ、柔らかさ・・・のようなものが感じられました。

見ごたえのある展示だったと思います。