2008/08/16 Saturday
Web拍手でいただいたコメントでペン画の技法に関するものがありましたので、私が世話になっている書籍をご紹介します。参考になれば幸いです。
- 『ペンで描く―スケッチから細密描写まで』
- A.L.グプティル著
- マール社
ペン画について基本的な事から高度な表現まで網羅した、詳細な解説書です。現代のマンガの表現とはやや立ち位置が異なるものの、マンガを描く人にとっても参考になる部分は多いのではないでしょうか。
まず入口ではペンによる線の引き方やクロス・ハッチなどの様々なトーン表現について、練習方法も含めて丁寧に解説されています。
続いて構図の取り方や濃淡によるコントラストの表現など、絵全般に通ずる基本的な知識と技法。おそらくデッサンの基礎的な知識があるとなお良いのでしょうが、作例も豊富で分かりやすい内容です。
更には植物や建物など具体的な事物について、その表現方法を多数の作例と他の画家による作品をも交えて解説しています。思うにこの作品のチョイスが大変秀逸で、絵のジャンル・画風ともにいずれもハイレベルなものが多岐に渡って掲載されています。著者による解説・作例自体、同じ物を描くにも無数の表現手法があるという前提に立ったものであり、ペン画の奥深さを感じさせてくれるものとなっています。
ペン画の技法書についてはこれ以外読んだ事がないのですが、私自身はこれ1冊で十分という感じです。どう描いたものかと悩んだ時など、見返してみるといつも何かしらの示唆を与えてくれます。