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『カレワラ物語―フィンランドの神々(岩波少年文庫)』

岩波書店様より発売された『カレワラ物語―フィンランドの神々(岩波少年文庫)』にて、カバーおよび本文中の挿絵を描かせていただきました。

「カレワラ」はフィンランドの民族的叙事詩。本書は全訳も手掛けられている小泉保先生により、読みやすい散文の物語として今回新たに書き下ろされたものです。

物語は全18章からなり、ほぼ章ごとに18点の挿絵とカットを描いています。場面の選択も含めて相当自由に描かせていただき、自分でも好きだなと思える絵になっています。親しみやすい「カレワラ」の書籍は少ないですし価格も大変お手頃ですので、興味をお持ちの方は是非読んでみてください。

カバーイラストをギャラリーにアップしました。挿絵の中からも数点、ご紹介させていただく予定です。

以下は蛇足・・・というか個人的な話。

はじめて今回、一冊まるごとイラストを担当させていただきました。元よりイラストのお仕事については描けるものなら子供向けでも成人向けでも、ジャンルを問わず喜んでやらせていただくつもりでいますが、物語に幾つもの挿絵を描いて表紙も描いて・・・というのは個人的にも特にやりたいと考えていたお仕事です。しかもその作品が「カレワラ」という世界的に知られた作品の、新たな書き下ろし作品なのですからとても光栄な事ですし、嬉しさひとしおなのであります。

カバーイラストについては少年文庫のカバーの白地(私はこのカバーデザインがとても好きです)を生かせるような塗り方をししています。最近わりとこってりめの塗り方をする事が多かったんですけど、今回はちょっと水彩っぽく見えなくもないような、いい感じに仕上がったのではないかと思ってます。

さし絵については動的なシーンと静的なシーン、極力変化をつけるようにしたつもりです。「カレワラ」のビジュアル的な資料はまあ多いとは言えず、小泉先生や編集部にご用意いただいた資料に助けられながら苦労して、でも楽しく描きました。章見出しの下のカットも、物語に関連したものを描いているんですよ。わかりにくいものもありますが。

これらの絵が、本書で「カレワラ」の世界を楽しまれる上で幾らかでもお役に立てれば、何よりの喜びです。