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『Lawrence Alma-Tadema』

Lawrence Alma-Tadema

ローレンス・アルマ=タデマはオランダに生まれ英国で活躍した、19世紀の画家。ウォーターハウス等と並んで好きな画家のひとりです。

ペーパーバックと書いてあったので薄めのコンパクトなのを想像していたのですけど、デカイ。ブ厚い。相当のボリュームです。まあ確かにハードカバーではないですね。印刷も綺麗。少~し暗めのような気もしますが、現物を見たことがないのでその辺はなんとも。

実に幅広い作品が収録されています。習作やスケッチも幾つか見られるのは嬉しいですね。絵はどれも独特の雰囲気があって、人物を描いたたとえドラマティックな作品であってもまるで静物画のような、静謐な印象を与えます。そんな傾向もあって絵によってはやや散漫に思えたり、面白みに欠けていたりもするのですが、それらも全てひっくるめて、壁や床石・衣服の襞などの質感描写や地中海の乾いた大気の表現(行った事ないけど)等々は、そりゃあもう素晴らしいのです。こんな風に描けるようになったらもう死んでもいい・・・って死んでしまったら描けないので困るんですが、それ位憧れてしまいます。

『Icon: A Retrospective by the Grand Master of Fantastic Art』

Icon: A Retrospective by the Grand Master of Fantastic Art

よく見かけるけどちゃんと見たことはなかったフランク・フラゼッタの画集。カラーを中心に幅広い作品が収録されています。改めて見ると構図とか色使いとか、コスチュームのデザインとかデフォルメの仕方とか、どれもこれも凄い。自在に描きまくっている感があります。多くの絵描きに影響を与えているのも当然でしょうね。

収録点数も多くてボリュームは十分ですが、個人的にはペン画をもっと見てみたかったかな(幾つか入ってはいます)。

『ヘラクレス 選ばれし勇者の伝説』

2004年、ロジャー・ヤング監督。もとはTVドラマのようです。当然ヘラクレスを主人公としたお話。

うーん・・・どういう意図でコレを製作したのかわかりませんが、私見では英雄を神話の世界から引きずり下ろして安っぽい愛憎劇に仕立て上げました~といった趣の、ひどい作品です。最後まで観るのがなかなかの苦痛でした。参考にAmazonのリンクはつけていますが、観るのは激しくお薦めしません。ショーン・アスティン(サムの人)が従者の役で出てきますので彼のファンの方とか・・・サテュロスが実写で動くのを見てみたいとか、そういう方なら。

アイヴァンホー

アイヴァンホーは英国の詩人・小説家のサー・ウォルター・スコットによる小説で、リチャード獅子心王やロビン・フッド等と共に活躍するサクソン人の騎士の物語です。しかしながら原作は未読。岩波書店から翻訳が出ているものの現在新品の入手は困難のようで、今回は映画化されたものを幾つかとりあげてみたいと思います。

『アイバンホー』

1997年、スチューアート・オーム監督。英BBCによるテレビ作品で全6回・5時間近くに及ぶ大作です。

実はこれ、資料的側面に期待して購入したのですが、思いがけずも大変面白い作品でした。長時間に渡るだけの事はあって各登場人物を丁寧に描いており、ハラハラドキドキさせてくれます。さすがに一気に観るのはちょっと辛いかもしれませんが。TVものでありながら、大人数のエキストラを動員した馬上槍試合や攻城戦など見所も沢山あり、当初の期待にも十分応えてくれるものでした(笑) キャストは脇役を含めて見たことのある顔がちらほら。サルマンの人がテンプル騎士団の長として登場したりします。

『黒騎士』

1952年、リチャード・ソープ監督。

こちらはレンタルで観たものですが、時間が短い分エピソードは大幅に削られており、もっぱらアイヴァンホーとユダヤ人の娘レベッカに焦点があてられています。このレベッカが大変綺麗でセクシーな女性で、この人の為の映画という気すらしてくるのですが、誰が演じているのかと思ってエンドロールを見ていると、"Elizabeth Taylor"エリザベス・テイラー、あれ、そんな名前のおばさまがいたような・・・って、同じ人みたいです。知らなかった・・・

斧と重棍による騎馬戦など、それなりに見所もあります。

『ロード・トゥ・ザ・ナイト』

1995年、ラルフ・トーマス監督。

こちらは騎士になる以前の若きアイヴァンホーを描いたもので、原作との関係は不明ながら、とりあえず前2作と比べるような代物ではありません。やる気が感じられないと言うか、全体的にだらだらしています。ロウィーナはパッケージではえらく美人にみえますが、露出が増えてみるとどうもかなり恰幅の良い方のようで・・・もっともその体型を隠すかのようなコスチュームのデザインはそれはそれで良かったので、レンタルだったら観てもよいのではないかと。

『ラ・マンチャの男』

1972年、アーサー・ヒラー監督。

同名のミュージカルを映画化したもののようで、映画自体もミュージカル仕立てになっています。お話の方は言うまでもなくドン・キホーテの物語。主演のピーター・オトゥールが非常に良くハマッてまして、長身痩躯で演じる様はドン・キホーテってこんな感じだったんだろうなあと思わせてくれます。原作読んでませんが・・・

劇中で歌われる曲も印象的なものが多く、観たあともしばらくフレーズが頭の中で鳴っていました(笑) ホロリとさせられるラストもいいですし、ミュージカルが苦手な人(私もそう)も観てみる価値はあると思います。

『タイムライン』

タイムライン〈上〉

映画版の感想を書いた際にお薦めいただき、以来気になっていたのですがようやく読了。

最新テクノロジーで14世紀にタイムスリップした一行が事件に巻き込まれる話なんですが・・・映画版は物凄くアレンジされているんですね。一緒なのはほとんど始めと終わりだけという(笑) 個人的には映画から観てよかった気がします。両方楽しめましたので。読んでから観てたら「えええ~何これ?」てな事になりそう。

映画と比べて展開は複雑で描写も細かいんですけど、中でも現在では○○と考えられているこれこれが実際は××だった・・・という描写は文章の方がより効果的ですね。映像だと臨場感がある一方、どうしても一種のファンタジーとしてとらえてしまう面があるのですが、文章にされるとつい「へえ~そうだったんだ」と了解してしまいます。

『タイムライン』(文庫版)
マイケル・クライトン著:酒井昭伸訳
ハヤカワ書房

「Moyan Festival」行ってきました

前の記事で書いた「Moyan Festival」に行って参りました。古楽器による歌とアンサンブルや甲冑姿の騎士達による模擬戦、神秘的な仮面やタロットカード・・・などなど、普段なかなか接する機会のないものばかり。イラストを描く際にはもっぱら写真や映画など間接的な資料に頼ることが多いのですが、実際生で目にすると違った迫力なり、魅力がありますよね。何人かの方とお話しすることも出来、大変楽しく過ごさせてもらいました。ハーブティーも美味しかったし。私は途中で失礼してきましたが、これを書いている今もまだイベントは続いているはず、運営ならびに参加されている皆様ほんとうにお疲れ様です。会が無事成功裏に終了することをお祈りいたします。

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写真はAvalon様のブースで撮らせてもらったもの。本当に全身甲冑ずくめで激しく動くのだからびっくり。模擬「演武」みたいなものを想像していたのですが模擬「戦」と言うべき迫力でした。他にも何枚か写真を撮ったんですけど案の定ブレまくりで・・・写真撮るのヘタなんだよねえ。

フライヤーとリーフレットで使っていただいたイラストは年明けあたりギャラリーにもアップする予定です。

『 Knight of the Lubinus - Moyan Festival 』

Moyan Festival」公式サイトへ

ちょっと宣伝。

来る12月24日(日)、川崎市の産業振興会館において、「Moyan Festival」というイベントが開催されます。「中世ヨーロッパ時代をベースに活動をされている団体・企業の制作している物品・施設紹介等の展示(即売)会及び模擬演技(以上公式サイトより)」との事で、中世ヨーロッパファンにはたまらないものとなりそうです。

公式サイトバナー

今回、本イベントのフライヤー及びリーフレットのイラストを描かせていただきました。上はフライヤーのイラスト。リーフレットの方も良い感じですよ!

師走ですね

先月末にめまいを起こしてダウン。もう良くなってるんですけど、更新はすっかりサボっておりました。自分で気が付かない内に結構疲れていたりするのかな。言葉は変ですがもっと積極的にリラックスするようにした方がいいかな、などと思ったり。