たぶん古典に分類されるんであろう作品。天から帰還した暗黒の女王に立ち向かう、さまざまな種族からなる仲間たち。女王の僕である邪悪なドラゴンを倒すために、タイトルにある伝説のドラゴンランスを蘇らせ・・・てな具合に話は展開します。
作品の一番の魅力は、今やファンタジーの世界ではお約束とも言えるキャラクター達でしょう。ドワーフ、エルフ、人間の騎士などなど、それぞれの行動規範にのっとって存分に活躍してくれます。もっとも「全員」が魅力的というわけにも行かないようで・・・よりによって主人公とも言うべき、一行のリーダーであるタニスに全く魅力が感じられませんでした。
彼には、ハーフエルフの私生児という出自だったり人間・エルフの女性との三角関係だったりと、そこらの脇役とは訳が違うと言わんばかりの設定が付与されています。恐らく作品に幅と深みを出そうという意図があったと思うのですけど、この点については成功しているとは言いがたいんじゃないでしょうか。彼が前面に出てくると途端に読むのがおっくうになるんですよね。書き手が設定を消化するのに手一杯という感じで、これは全く個人的な感想でもなかろうと思うのですが。
他にも、お前よりレイストリン(魔法使い)の方がよっぽど役に立ってるじゃん、とか言いたいことはまだ出てきそうなんですけど、他のキャラクターの活躍はそうしたことを補って余りあるものですし、ドラゴンの大部隊というモチーフは想像力を大いに刺激してくれます。作品自体は大変面白かったので悪しからず。
- 『ドラゴンランス』1~6巻
- マーガレット ワイスほか 著/安田 均 訳
- エンターブレイン