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『世界のかなたの森』

世界のかなたの森 (ウィリアム・モリス・コレクション)

ウィリアム・モリスというと装飾デザイナーとしての業績がまず思い浮かびますが、同時に経営者であり思想家であり詩人でもあった、大変多才な人物です。

本書は中世ロマンスを思わせる作品で、どことなく「ジェレイントとエニド」や或いは「妖精の女王」などとも通ずる雰囲気を持っています。話の筋自体はどうってことのないもので、馴染めない方には退屈かもしれません。私自身も前半は少々退屈してたのですが、徐々に引き込まれました。こういう不思議な雰囲気のある物語は好きです。

『世界のかなたの森(ウィリアム・モリスコレクション) 』
ウィリアム・モリス著/小野二郎訳
晶文社

『ムンク展』

国立西洋美術館にて、1/6(日)まで。

ムンクというと正直「叫び」あたりのイメージしかなかったのですが、この展覧会では装飾画家としてのムンクに焦点を当てて、相当数にのぼる作品群をプロジェクト単位で紹介しています。観た感想としては、これまでの自分のイメージとは異なり実に多様な顔を持つ画家だったんだなあという事。展示されていた作品が施設・建築物の装飾としてイケてるかどうかは「?」ですし、どっちにしろ好きなタイプの画家ではないのですが、企画展としてとても観応えのあるものでした。

『「鳥獣戯画がやってきた!」展』

サントリー美術館にて、12/16(日)まで。

国宝の「鳥獣戯画」とそれに関連する作品を集めた展覧会。「鳥獣戯画」自身が甲乙丙丁四巻に分かれ、それぞれ描かれた年代も異なるというのははじめて知りました。中でも一番よく知られているであろう甲巻、擬人化されたウサギやカエルが跳ね回っている様は、こんなものを平安時代に描いただなんてどこの天才だか変態だか・・・と思わずにはいられません。犬やら馬やらも躍動感があって、あきれるほど上手いんですよねえ。

『フェルメール 「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展』

国立新美術館にて、12/17(月)まで。

17世紀オランダの画家フェルメールの作品が目玉の展覧会。フェルメールの作品は1点のみですが、そもそも現存する作品が確か30数点だかしかなく、大変貴重な機会です。

絵面自体はネットでもどこでも見られますが、実物を観た印象としては「小さい」てのと「鮮やか」というところ。描かれているのはある一瞬でありながら無限の時間を感じさせるような、独特の深さはフェルメールならではで、一人で間近に座ってボーッと眺めていたい気分になります。出来ませんが。

これ以外では、版画が結構な数あるので興味のある人なら楽しめると思います。ただ個人的にはあくまでフェルメール1点+おまけというイメージで観に行って実際その通りでした。