2009/06/24 Wednesday
『ロビン・フッドのゆかいな冒険』などと同様、ハワード・パイルが文章、挿絵共に手掛けた作品。
銀の義手を着けた騎士が敵をばったばったとなぎ倒す痛快な物語・・・なんてのを想像していたら全然違って、やさしい心を持った少年が主人公、そして結末こそ光の差すものでホッとしましたが、血と死の薫り漂う、全体的にかなり暗いお話です。裏を返せば「暗黒の中世」などと呼ばれた、そういう雰囲気がよく出ているとも言えます。これは元となるお話があったのでしょうか・・・?
挿絵についてですが、技法の面では『ロビンフッド』と比べてよりオーソドックスな印象です。絵そのものは大変素晴らしく、各章冒頭の遠景を描いたものやレリーフ調のもの、本文中の迫力ある挿絵、いずれもパイルの技術とセンスを堪能出来ます。
Amazonでは現在入手しづらいようですが、興味のある方は図書館で借りるなどして是非。
- 銀のうでのオットー (偕成社文庫 (3110))
- ハワード・パイル著/渡辺茂男訳
- 偕成社