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『英国中世ブンガク入門』

英国中世ブンガク入門

割と軽めのノリで、アーサー王物語、カンタベリ物語、シェイクスピアの中世ものなどが取り上げられています。映画の『ブレイブハート』なんかも。「肩肘張らなくても、面白いんだよ~」という著者の意図がはっきりしていて、紹介されている未読の作品も読んでみたくなりました。

カバーがとても綺麗です。装画は山口はるみさん。

『英国中世ブンガク入門』
桜井俊彰著
勉誠出版

ロミオとジュリエット

新潮文庫のを買ってきたんですが、半分くらい読んだところで挫折。どうも訳がなじめません。「ナムアミダブナムアミダブ」ってどういう事よ。四大悲劇あたりを新潮文庫で読み始め、福田恒存氏の訳がとても読み易くていいと思っていたんですけど、これは福田訳ではなかったんですね。気が向いたらもう少し良さそうな訳を探してみよう。

2006/06/26 追記

いただいたコメントにあった平井正穂訳のものを読了。こちらは違和感無く普通に読むことが出来ました。とは言えやはり言葉遊びの部分などは訳すのが大変だろうなと思います。この言葉遊び―パン(pun)というそうです―については巻末の訳者による解説でも触れられており、興味深く読みました。

『ベーオウルフ』

同名の本を2冊。

『ベーオウルフ』

忍足欣四郎訳:岩波文庫

古英語による英雄叙事詩で、8世紀頃に成立したものとされています。物語はおおまかに二つに分かれ、前半部では若き日の主人公の怪物退治が、後半部では老いた主人公が竜を退治するも自らも力尽きるくだりが歌われています。

硬派というか大変骨太な詩で、ヒロインの類などは全く登場しませんし、主人公がうじうじ悩んだりすることも一切ありません。英雄ベーオウルフの行動のみが本筋として語られ、それらは大変勇ましいのですが、詩全体としては暗いトーンで覆われているような気がします。後半の竜退治では、トールキンの『ホビットの冒険』を思い出しました。宝の山を守っている様子などそのまんまです。実際トールキンもこの作品を好んだようで、『ベーオウルフ』に関する論文も書いているそうです。

あとは物語そのものの面白さもさる事ながら、訳が非常に素晴らしいと思いました。重厚な文体でありながら、とても読みやすい。注釈や作品についての解説も読み応えのあるもので、いい本よんだな~という気にさせられました。

『ベーオウルフ』

ベーオウルフ 妖怪と竜と英雄の物語―サトクリフ・オリジナル〈7〉

ローズマリ・サトクリフ著:井辻朱美訳:原書房

実は読んだのはこちらが先。こちらは散文形式ですが、脇筋が削除されたり補完的な描写がある他は原作と全く同じ内容です。文字のサイズと字間が異様に大きいものの、お子様向けの文体というわけではなく、むしろ古語調を意識したいかめしい言い回しが多用されています。ちょっと読みづらかった気も。それでも1時間余りで読めてしまったのですけど、話は過不足なく書かれているので筋を知るのには充分だと思います。

『初版グリム童話集』

初版グリム童話集―ベスト・セレクション

図書館で借りてみました。改めて読むと案外新鮮。

グリム童話といえばお馴染みの話が多数ありますが、本書あとがきによると現在一般的に流布しているものは第七版で、その間子供向けとしてふさわしくない話を削除したり、加筆・修正が行われたそうです。で、この本には初版にしかない話を含めて30話余りが収録されています。

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強烈だったのが「子供たちが屠殺ごっこをした話」。兄弟がごっこ遊びをしていて、肉屋役のお兄さんが豚役の弟を・・・てな話なんですが、怖いと言うかなんと言うか。実際似たような事件でもあったのかしらん。

ところで、本書には結構な数の挿絵も収録されています。ほとんどが知らない絵描きさんでしたが、私の好きなギュスターヴ・ドレの挿絵なんかも載ってたりしてちょっとびっくり。ドレ以外の挿絵もなかなか魅力的で、楽しめると思います。

『ベスト・セレクション 初版グリム童話集』
吉原高志・吉原素子選訳
白水社

『妖精の女王』

同名の本を2種類。

妖精の女王〈1〉

『妖精の女王』

エドマンド・スペンサー著:和田勇一・福田昇八訳:ちくま文庫(全4巻)

昨年来少しずつ読んでいたのをようやく読了。作者のエドマンド・スペンサーはシェイクスピアとほぼ同世代の詩人で、英国はエリザベス女王の治世です。物語は大きく六つのエピソードに分かれ、それぞれ主人公となる騎士が任務を果たすべく冒険を繰り広げます。

「むかしむかし・・・」という体裁をとってはいますが、「妖精の女王」とはすなわちエリザベス女王の事です。また、「身分ある人々に道徳的訓育を施すこと」がこの詩の主要な目的であると作者自ら語っているだけあって、おべっかや教訓臭が少々鼻につく面はあるものの、純粋に物語として読んでも十分楽しめるものだと思います。竜退治あり、お姫様救出あり、魔女やら黒騎士やら、神さまだってぞろぞろお出ましになるよ~ってな具合。そして主人公の騎士は冒険の過程で幾多の試練を経て「徳」を身に付けていく・・・訳者解説によれば「ファミコンゲームの格好の素材となっている」そうです(笑

訳は大変読みやすいものだと思います。注釈も親切。突然知らない名前が登場して何のこっちゃ、なんて事はありませんでした。

『Illustrations and Ornamentation from THE FAERIE QUEENE』

Illustrations and Ornamentation from the Faerie Queen (Dover Pictorial Archive Series)

ウォルター・クレイン

こちらはウォルター・クレインによる挿絵集、いや独立したイラスト集と言った方がいいのかな。100点を超えるモノクロイラストが収録されています。本体を読む前に購入していたんですけど、少し眺めた程度でずっと本棚に眠っていたのでした。

改めて見るとこれが凄い凄い。一見しただけで、どの場面を描いたものかすぐわかる。膨大な登場人物を描き分け、画面全体を埋め尽くす描き込みに圧倒されます。装飾枠もそれぞれ違ったデザインになっているんですよ。しかも絵の内容とリンクするものだったりする。一体1枚あたりどれ位の時間で描いたんだろう・・・

『ロビン・フッド物語』

岩波新書。中世から現代に到る各時代のロビン・フッド像を考察、紹介したもの。流し読みだったんですが、大変魅力的なイラストが紹介されていたのでメモ。

ハワード・パイル(1853-1911)
『ノッティンガム州の高名なるロビン・フッドの愉快な冒険』

絵本チックな作品のようで、絵と装飾と物語(文字)が見事に融合した緻密なペン画。いずれ要チェック。

『ラファエル前派の夢』

図書館で借りてきて読みました。

ラファエル前派というと、19世紀中頃の英国における美術史上の一潮流で、ロセッティやミレイがこれに属する・・・程度の事は知っていたんですけど、要はその程度しか知らなかったわけです。

本書はラファエル前派同盟の結成のいきさつから後世に与えた影響に到るまで、主要な人物に焦点を当てながら論じています。焦点が切り替わる度に時系列が前後するので、読んでいる最中は少々解り難さもありますが、ひと通り読めばなるほどと理解出来る、といった感じです。・・・それでも説明出来る程には理解してませんけど。

ところで私はポインター、ウォーターハウスといった画家達がお気に入りなんですが、本書では全く、名前すら登場しません。彼らも広い意味ではラファエル前派に含まれるんだろうと考えてたんですけど、違うようですね。古典派?とか何とか。今度はその辺のところをあたってみようと思ってます。でも、この時代の英国の画家って「西洋美術史」という括りでは殆ど無視されているような。手頃そうな本をなかなか見かけないんですよね・・・

『ラファエル前派の夢』
ティモシー・ヒルトン著:岡田孝彦・篠田達美訳
白水社

源氏物語

日本文学史に燦然と輝く金字塔、その現代語訳(与謝野晶子訳)を読了。正直読んでいて大変つらかったんですけど、今読まなかったら恐らく一生読まないだろうと思って。以下、感想的あらすじ。

  • 1.人妻を(略
  • 2.行きずりの女性を(略
  • 3.年端も行かぬ娘を(略
  • 4.1に戻る

・・・少なくとも間違ってはいない筈。

『機動戦士

ガンダム THE ORIGIN 』を何の気なしに読み始めました。うーん、面白い。ガンダムってこんなに面白い物語だったんだなあ、と。テレビで放映されていた当時はグフが格好いいとかゲルググは豚みたいな鼻だけどカッコいいとか、そんな見方しかしてなかたんですけど、こんなに面白いものをやってたんですねえ。安彦良和さんの絵も、実は今までそうと意識して見た事はほとんどなかったんですが、すごく好き。てか滅茶苦茶上手いですね・・・

騎士物語2

前回書いた『マギノビオン』を引き続き読んでます。アーサー王の騎士の物語があるのですが、一般的に知られているものと異なる名前で登場するケースが多いみたいです。お国の違い故でしょうか。オーウェイン、ペレドゥルといった騎士が大層な活躍を見せるのに『アーサー王の死』には全然名前が出てこなかったもので、完全に別系統のお話なのかなあなどと思ってたんですが、検索してみたらさくっと判明しました。オーウェインはイウェイン、ペレドゥルはパーシヴァルなんだそうな。同一人物と知っているのといないのとでは、感じ方が変わってくる場面もありますよねえ。ネットって便利。人名辞典まで作ってる方もいらっしゃったりで、ひたすら感心してしまいました。