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『マウリッツハイス美術館展』『ベルリン国立美術館展』

上野のふたつの美術館に、フェルメールの絵が来ています。こういうのって示し合わせてたりするんでしょうか、それとも偶々?

マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝

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東京都美術館にて、9/17(月)まで。「真珠の耳飾りの少女」が目玉です。開館時間より少し早く行ったのに、既にぞろぞろと中に入ってました。人が多すぎたからかだろうか。。

で、「真珠の耳飾りの少女」ですが、作品のうんと手前から行列に並ばされました。作品の前では係の方が、立ち止まらずにご覧ください云々。予想はしていたものの、どうも萎えてしまいます。実物を見て感じたのは、写真では肌の色を強調されてるケースが多いんだということ。実物の色合いの方が私は良いと思います。フェルメール以外で印象的だったのはレンブラントくらい。

ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年

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国立西洋美術館にて、9/17(月)まで。こちらは「真珠の首飾りの少女」が目玉。真珠の耳飾りと首飾り、文字だけだとなんともややこしいことで。

こちらは行列も黒山の人だかりなんてこともなく、順にみて行ったらひょっこり目の前に現れました。耳飾りの方が知名度は高いと思いますけど、私はこちらの首飾りの方が好きです。構図がそれはもう素晴らしいし、表情や仕草、配置された器物が色々な想像をかきたててくれます。耳飾りのあの娘は何考えてるんだかさっぱりわかんないから(笑

他の絵も幅広い作品が集まっており、素描などなかなか興味深いものでした。ただ全体のボリュームとしてはさほどでもなかった気がします。あとはもうひとつの企画展「クラインマイスター:16世紀前半ドイツにおける小画面の版画家たち」がなかなか面白かった。入り口に虫眼鏡が用意されている(!)ので、是非使いましょう。米粒に表情豊かな顔でも描きかねない、強烈な細かさでした。

バーン=ジョーンズ展  ― 装飾と象徴 ―

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三菱一号館美術館にて、8/19(日)まで。19世紀後半に活躍した、英国絵画の巨匠の作品展です。

思いのほか展示数が多く、見ごたえのあるものでした。傾向としてはやはり装飾的要素の強い作品に彼の良さが出ている気がします。普通の絵画作品だと正直あんまり面白くないというか。。

今回はじめて行ったこの美術館、明治に建てた洋館を復元しているそうです。なんつーか、金はあるとこにはあるのね。美術品を扱うのだから空気がえらく乾燥しているのはともかく、冷房が効きすぎで寒かったっす。

『日本橋~描かれたランドマークの400年~』

江戸東京博物館にて、7/16(月)まで。江戸時代を中心に、昭和にいたるまでの日本橋の姿を絵画や写真等で追う展覧会です。

思った以上に多彩な展示でなかなか面白い内容でした。特に印象に残ったのは川瀬巴水という版画家の作品。風景の輪郭をつかむセンスと色使いが凄くいい。ショップに画集があるので見てみるとこれがまたとても良い。買っちゃおうか迷ったのですけど、6,000円という値段に負けて断念。

『フェルメールからのラブレター展』

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Bunkamura ザ・ミュージアムにて、3/14(水)まで。フェルメールの『手紙を読む青衣の女』『手紙を書く女』『手紙を書く女と召使い』という3作品が同時に観られます。

どれも良かったのですけど、私は特に『手紙を書く女』が好きです。眼差しが良い。他に同時代の画家の作品も展示されているのですけど、オマケと言っては何ですが印象に残るものは無かったなあ。でもフェルメールだけの為に行く価値は十二分にあると思います。

『没後150年 歌川国芳展 』

森アーツセンターギャラリーにて、2012年2月12日(日)まで。幕末の奇才浮世絵師(公式サイトより)、歌川国芳の作品を集めた展示会です。その技術もさることながら、構図やアイデアの独創性・大胆さに驚かされます。あらゆるジャンルの絵を手掛けている内、武者絵のような力の入りまくったものも素晴らしいんですが、個人的には戯画などの力の抜けた(?)絵をより面白く感じました。中でも「里すずめねぐらの仮宿」なる作品は擬人化された雀たちがなんとも可愛くて、思わずほっこり。でもこれ、頭だけ雀で手は人間の手なのです。そこのところをよくよく見るとちょっと不気味でもあったり(笑

『プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影』

国立西洋美術館にて、2012年1月29日(日)まで。スペインの画家ゴヤの、「着衣のマハ」を目玉とした展示会です。個人的にゴヤにはあまり興味が無くて。。今月上旬、近くに行ったので寄ってみたのですけど、今の自分の関心はこれらへ向いていないんだなあと再確認してしまいました。一緒にやっている『ウィリアム・ブレイク版画展』の方が面白かったです。この人は変人というか変態というか、ちょっと突き抜けている人だと思う。

『大英博物館 古代ギリシャ展』

大英博物館 古代ギリシャ展

国立西洋美術館にて、9月25日(日)まで。古代ギリシャ・ローマの美術品を集めた展覧会です。

神話を題材にした図案の描かれた陶器(主に壷)は、数も多くて描かれた内容も豊富。特徴のある絵柄、色あいですね。彫刻は大きなものから小さなものまで。小さなものはギリシャ時代のフィギュアといった趣で、よく出来ていることと言ったらとても2千年だかの昔に作られたものとは思えません。チケットにも使われている「円盤投げ」、これは実際の人間よりちょい大きい?位のサイズでなかなかの迫力。お決まりのアングルからなら見たことあるという人も多いでしょうが、360°全方位から眺めてみるのはなかなか面白いものでした。割と首が細いなあ、なんて事に気付いたり。見ごたえのある展示でした。

『レンブラント 光の探求/闇の誘惑』

レンブラント 光の探求/闇の誘惑

国立西洋美術館にて、6月12日(日)まで。レンブラントならではの明暗のコントラストに焦点をあてた展覧会です。版画作品が多数を占め、中でもレンブラントが和紙に大きな関心を寄せていた事などはとても興味深いものでした。全体としては割と渋めな印象。老眼鏡を使われている方は持っていったほうがいいかもしれません。いや細かいのなんの。びっくりしたし、目が疲れました(^^;

弥生美術館・竹久夢二美術館

弥生美術館・竹久夢二美術館に行ってきました。

弥生美術館

『百花繚乱! 挿絵の黄金時代展』というのをやっていました。昭和20~30年代、岩田専太郎と志村立美の作品がメイン。岩田専太郎という画家は恥ずかしながら知らなかったのですが、艶っぽいけど品があるというか。「何時間で何枚描いた」などという解説を読んで「うそ~っ!?」でした。志村立美は美人画で知っていましたが、この展示は挿絵中心です。しかし改めて美人画の画集など見ると結構みな同じような作品に見えないでもなく。

竹久夢二

こちらは『竹久夢二 図案と装飾展』という、デザイナーとしての夢二の才能が伺える展示が行われていました。竹久夢二が好きかと言われると自分でもよく分からなくて、基本的に崩れている絵というのは好きじゃないんですけど、でも妙に魅かれるところもあり。かといって見続けているとぐらぐらと不安定な気持ちにさせられるような。。そんな感じです。あー「ヤバイ」ってのが色んな意味でぴったりかも。

上村松園展

上村松園展

東京国立近代美術館にて、10月27日(日)まで。過去最大級の回顧展とのふれこみです(公式ページより)。昼過ぎに行ったところ、年配の方を中心にかなりの人でした。

本展でとてもよかったのは、各作品の制作年と共に当時の彼女の年齢が表記されている点です。年齢と共に変わってゆく作風を、大変興味深く鑑賞しました。

まず若いころの作品。溢れんばかりの才能に恵まれた画家が、実に真摯な態度でひとつひとつの作品に取り組んでいる印象です。人物の表情は写生に裏付けられているのでしょう、みずみずしく豊かで、かつ細やかです。余談ですが若い頃の作品をざっと見て、「27歳頃何か転機となる事があった?」と感じました。年譜を見るとこの年に長男の松篁が生まれているのです。俺すげー。漠然とした感じで、言葉に表わせるものではないんですが。。

さて、魅力的な若い頃の作品に比べると、40代あたりの作品からはなんとなく色褪せた感じを受けました。そして60代の作品。この頃は多作だったのか展示の数も多く、いずれも格調高く、値段も高そうです。が、描かれている顔はどれも金太郎アメのように同じ!格調高いってそういうことなのかしらん・・・60代の終わりに描かれている「静」などは前から好きな絵でしたのであまり悪く言うのもあれなんですけど。この点に関して付け加えるなら彼女が59歳の時、大きな支えであった母が亡くなっているそうです。その事が彼女にどのような影響を及ぼしたのか、それは私にはわかりません。

逆に70代の作品になると何か突き抜けたような、朗らかさ、柔らかさ・・・のようなものが感じられました。

見ごたえのある展示だったと思います。