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ケルトの本とDVD

同じテーマで内容・構成に共通する部分も少なくないので合わせてご紹介。

『 THE Celts 幻の民ケルト人 』

1986年、英BBCで放映されたTV番組のDVD化。
全6回分の2枚組みで、トータルでは5時間超。

ケルトの歴史について、豊富な映像を交えて解説した番組です。映像としては各地の出土品やウェールズ・アイルランドなどの自然と建造物、当時の暮らしの再現映像などなど。ほとんどが屋外のロケで構成されているほか、再現映像も本格的な感じでかなりお金をかけている印象です。内容的には現代との関連に重点が置かれており、廃れてしまったものと今に伝わるもの、そういう面でも興味深く観られました。

番組のイメージソングとしてエンヤの曲が使われており、彼女のインタビューも収録されています・・・が未見。ちなみにこの番組、かつて(1989年・・・)NHK教育でも放送されたそうです。

『図説 ケルトの歴史』

図説 ケルトの歴史―文化・美術・神話をよむ

写真だけ眺めてそのままになっていたのをようやく読みました。上の番組と割合似た構成ですが、こちらは主に美術・文学など創造的な活動に焦点を当てている印象。絵画と神話に関してはより詳しく解説されています。写真も豊富。

『図説 ケルトの歴史』
鶴岡真弓・松村一男著
河出書房新社

『ロビンとマリアン』

1976年、リチャード・レスター監督。

齢を重ねたロビン・フッドとマリアンの恋物語。ロビンをショーン・コネリー、マリアンをオードリー・ヘプバーンが演じています。「齢を重ねた」というところがミソで、ロビン・フッドものとはいうものの血沸き肉踊る冒険とは全く無縁の、はかない物語。10年前に観ていたら「なんじゃこりゃ?」で終わってたかもしれません。でも10年後に観たら思わずホロリとしてしまう・・・かも。

新旧『冬のライオン』

ようやくオリジナルを観ましたので、以前観たリメイク版と併せて感想など。

時は12世紀、英国王ヘンリー二世と妻エレノア、王の愛人に三人の息子。彼等が王位やら家族・恋人の愛やらを巡って虚虚実実の駆け引きを繰り広げるところへフランス王までやって来て・・・という、もう何が何やらわからなくなりそうな展開を骨太の物語に仕立て上げた、凄い作品です。

『冬のライオン』(オリジナル)

1968年、アンソニー・ハーベイ監督。

映像は製作年相応のものながら、絵作り的にはさほど古さを感じさせません。広間の床にイグサが敷いてあったりとかなりのリアル志向。あまり美しくはないものの、実際こんな感じだったのではないかしらん。リメイク版との比較になりますが、テンポが非常に早い。リメイク版のテンポが悪いわけではないのですけど、割と各場面をねちっこく描いているため終盤ではちょっと食傷気味になってしまったのも事実。その点こちらは2時間余りに凝縮された、密度の濃い展開でした。

『THE LION IN WINTER 冬のライオン』

2003年、アンドレイ・コンチャロフスキー監督。

テレビ映画として作られたものらしく、前後編に分かれています。合わせて3時間余り。相当手を加えてあるものと思っていたんですが、内容的には完全に一緒でした。印象的な場面も台詞も、みんな同じ。ただ先に書いた通りねちっこく、人物間のやり取りや心の揺れをじっくりと描き出しています。セットは当然違います(笑)城の内装や服装などはこちらの方が好み。それとオリジナル同様、城内の階段が舞台としてとても効果的に使われており、こちらはより印象的だったと思います。

この作品は『レジェンド・オブ・サンダー』『キング・オブ・ファイヤー』とセットで販売されているようです。他の二作もとても面白く、オススメです。

『エクスカリバー 聖剣伝説』

原題は「MERLIN」。1998年、スティーヴ・バロン監督。

原題の通り、魔法使いマーリンが主人公のお話です。エクスカリバーは出るには出ますが、せいぜいが話のアクセント程度、アーサーも重要人物でこそあれ、あくまで脇役。半人半妖のマーリンが人間達に希望を託して云々・・・てな感じでしょうか。色々なエピソードを取り込み、全体としてはオリジナル色の強いストーリーです。

この作品、結構な豪華キャストらしいのですけど、映像的にはどうもB級臭いというか、「80年代の最先端映像」みたいな雰囲気があります。それはそれで決して嫌いじゃないんですけどね・・・でもドラゴンとか・・・とりあえず『LOR』などとは比べるべくもありません

お話的には好みが分かれそうな内容ですが、私は楽しめました。ラーンスロットのオチには笑ってしまいましたけれども。「ガラハッドかよ!」ご覧になれば解ると思います(笑 それからラストは割と好みでした。ただ最後の最後はちょっと余計だったかな。そのままでもいいじゃない、と。

『リチャードを探して』

1996年、アル・パチーノ監督。主演も。

シェイクスピアの『リチャード三世』を映像化する、その過程を追ったドキュメンタリー・・・って事でいいのかな? シェイクスピアの面白さを解りやすく伝えるのが目的で、別途完成した「アル・パチーノによるリチャード三世」があるわけではないようです。多分。

とはいえ、断片的ながら実際に演じているシーンも多数あり、それぞれ衣装やセットも本格的なものです。これらの映像に素の(多分・・・)議論やインタビューを交えながら、『リチャード三世』なる作品を解きほぐしていくという仕組み。

えらくわかり辛い要約になってしまいましたが、このドキュメンタリー自体はとても解りやすいです。複雑な人間関係や展開を、ポイントを押さえて丁寧に解説してくれています。つい先日原作を読んだばかりでもあり、「ああ、こんな台詞もあったなあ」と大変面白く観る事が出来ました。逆にこれを観てから原作を読んでみるのもいいかもしれません。

『レディホーク』

1985年、リチャード・ドナー監督。

時は中世、呪いによって動物に姿を変えられ、昼と夜すれ違いにしか人間に戻れなくなってしまった恋人達・・・という設定は面白いと思います。

うーん、しかしこの恋人達がちょっと。一途と言えば言えるのでしょうけど、私には我侭身勝手なカップルに見えてしまい、今ひとつお話に入っていけませんでした。二人を助けるコソ泥の少年が登場するのですが、その献身的な働き振りに、むしろ彼の方に感情移入してしまったり。彼に礼のひとつも言ったらどうよと(笑

映像的には古い映画にしてはそこそこだと思いました。コスチュームなど『ロビン・フッド』あたりと同じ路線という印象です。

『オデッセイア/魔の海の大公開』

原題は「THE ODYSSEY」。1997年、アンドレイ・コンチャロフスキー監督。ずばりホメロスの「オデュッセイア」の映画化です。

「オデュッセイア」で一番好きなシーンと言えば、物語の終盤、愛犬アルゴスが帰ってきた主オデュッセウスを迎えるシーンなんですが、このシーンはカットされていました。うーん残念。

もっともこの映画、再現度は非常に高いです。キュクロプスもちゃんと一つ目で登場しますし、スキュラもカリュブディスも、キルケもカリュプソも、ナウシカまでもが登場します。オデュッセウスの黄泉降りも、テレマコスのスパルタ行きだってあるんです。出てこなかったのはセイレンの場面くらいでしょうか。

ひとつの映画としては全体の時間(3時間弱)のみならず各場面がやけに間延びしており、正直観るにはかなりの忍耐が必要です。1.5倍速で再生したら丁度良かったって一体・・・しかしながら何かこう、作った人の執念みたいなものが感じられる作品でした。

出演陣は知らない人ばかりでしたが、クリストファー・リー(サルマンの人)がチョイ役で出てきます。

『円卓の騎士』

原題は『KNIGHTS OF THE ROUND TABLE』。1953年、リチャード・ソープ監督。

タイトルの通り、アーサー王ものです。初っ端からモルドレッドがアーサー王のライバルとして登場したりもしますが、トマス・マロリーの「アーサー王の死」に割と忠実な内容です。いかんせん古い映画なので画質は悪いですし、剣戟がしょぼかったり(特に前半)テンポが悪かったり(特に前半)といった欠点はあるものの、アーサー王ものが好きな方にはオススメできる作品だと思います。

まず衣装。甲冑類も含め、概ね14世紀頃のファッションで統一されています。変にデザインしちゃってないのも個人的には好印象で、この時代の衣装として私のイメージとぴったり一致していました。紋章や馬衣もぞろぞろ登場し、騎士達の突撃シーンなどはなかなか壮観です。

次に脚本。「おっ」と思わせるようなシーンがちらほらあります。例を挙げるとランスロットが罪の故に聖杯を見ることが出来ないと語るくだりや、最期の合戦で足元の蛇を殺そうとして剣を抜いたのが引き金となる場面、等々。テンポが悪いと書きましたが、終盤は結構な盛り上がりで引き込まれました。

俳優陣は正直知らない人ばかりだったのですが、ランスロットの妻エレイン役のモーリーン・スワンソンという女優さんがとても綺麗でした。あまり有名な人じゃないんだろうか。グウィネヴィアの人は品のない感じでいまいち。

『エクスカリバー』

原題は『PRINCE VALIANT』。1997年、アンソニー・ヒコックス監督。

アーサー王の時代、ガウェイン卿の従者が冒険を繰り広げ、その途上彼の正体が明らかになり・・・というお話。

一言で言って、もう面白過ぎです。

序盤いきなりアニメが出てきてまずびっくり。後で調べてみたところなんでもアメコミが原作だそうで、実際の絵も使われているようです。骨太でいかにもな画風で、個人的にはかなり好きな感じ。とは言え違和感はありまくり、しかも序盤のみならず途中いたるところでこの絵だかアニメだかが挿入されます。この切り替えが妙に可笑しく、つい笑ってしまいました。

物語そのものはオーソドックス、というよりベタベタなんですけど、ノリはちょっと普通ではありません。真面目なんだかふざけてるんだか、恐らくコミックが原作の所為でしょうが、良くも悪くもマンガチックな展開で「なんだそりゃ?」の連続です。ヒロインが花粉症って一体。私にはこのノリがえらくツボで、馬鹿馬鹿しさがたまりませんでした。もっとも合わない人にとっては逆の意味でたまらないかもしれません。全編を通じて漂うチープな雰囲気もあり「つまらないB級映画」で終わってしまうかも。

ただ、チープと言いつつ甲冑や馬衣のデザインはかなり凝っていると思いますし、アクションもそれなりに盛りだくさんですので、一見の価値はあるんじゃないでしょうか。時間も90分余りと手頃ですしね。

『キング・オブ・ファイヤー』

2003年、ピート・トラヴィス監督。

ヘンリー8世を描いた作品です。結婚問題がもとでローマ・カトリック教会とケンカした英国王、エリザベス女王の父親でもあります。

この王様、次々に妃を娶っては離婚したり果ては処刑したり、部下だって片っ端から処刑してしまいます。まあとんでもない人物・・・なんですが、物語りも後半に入ると、やってる事は相変わらずとんでもないものの、その佇まいには悲哀が感じられるようになります。信頼できる部下は無く、妻にも裏切られ・・・少し同情してしまいました。そういう撮り方をしているのでしょうが、ヘンリー役のレイ・ウィンストンの演技による所も大きいと思います。

それからショーン・ビーン(ボロミアの人)が出演しています。『トロイ』の感想にも書いてましたけど、この人の存在感は半端じゃない。割と短時間の出演ながら、ヘンリーと対峙するシーンなどはもうえらい迫力でした。

この作品、前に感想を書いた『レジェンド・オブ・サンダー』と同じシリーズですが、このシリーズはどれも非常に観ごたえがあります。中世好き、英国好きな方にはおすすめです。