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『Rackham's Color Illustrations for Wagner's "Ring"』

Rackham's Color Illustrations for Wagner's

前日の記事からの流れでご紹介。「ニーベルングの指輪」をイラスト化したもので、60点余りのカラーイラストと数点のモノクロカットが収められています。どの絵も登場人物の神秘的な表情と躍動感が素晴らしく、大変魅力的です。私は原作の内容を知らずに購入してそれでもいたく感動したものですが、知っていればより一層楽しめることでしょう。

印刷は上質とはいいかねますが、とりあえず見るのに支障はないと思います。少し暗部がつぶれ気味のような気も。原画を見たことないのでわかりませんけど。

ところで、作中例の羽の付いたカブトを被ったワルキューレが大勢登場します。実際にこのようなデザインがあったわけではなくて画家の創作が定着したものらしいですが、誰が元祖なんでしょうね。そう言えばギリシア神話の神ヘルメスもよく羽付きの兜だか帽子だかを被っています。なにか関係あるんだろうか・・・と、少々脱線でした。

『ジークフリート伝説 ワーグナー『指輪』の源流』

ジークフリート伝説 ワーグナー『指輪』の源流

多くの文芸作品で扱われているニーベルンゲン・ジークフリート伝説について述べた、大変読み応えのある本です。「ヴォルスンガ・サガ」「ニーベルンゲンの歌」等を経て、ワーグナーの「ニーベルングの指輪」でクライマックスを迎えるという構成。古今の作品のあらすじ・特徴などのわかりやすい解説を読んでいく中で、作品の枠を越えた伝説そのものの性格や変遷ぶりが浮かび上がってきます。

個人的に嬉しかったのは「指輪」四部作のあらすじが結構くわしく、且つわかりやすく書かれている点。尻込みして手を出せずにいるのですが、ワーグナーってスゴイんだなあというのが本書を読んでの素直な感想です。うーん、やっぱ一寸観てみたい。

『ジークフリート伝説 ワーグナー『指輪』の源流』
石川栄作著
講談社学術文庫

『トリスタンとイゾルデ』

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2006年、ケビン・レイノルズ監督。

トリスタンとイゾルデの物語ではありますが、原作を意識しつつも内容はかなり異なります。媚薬が登場しないのは象徴的で、終始現代的な感性で処理されています。

リアリティーは当然必要ですし結局は程度問題だと思うのですけど、何でもかんでもさも事実っぽく処理してしまうやり方はどうも好きになれません。ビジュアル面も然り、「英雄」達がみすぼらしい格好で駆けずり回るのを延々暗い画面で見せられたところで面白くも何ともなく、気が滅入るだけです。

真面目に作っているのは理解できるのですが・・・いっそ別方向に現代的な感性を発揮して官能巨編にでもしてくれればね。それはそれで面白いんじゃないかしらん。

Illustration更新

「お弁当!」をアップしました。軽い絵ですがあまりこういうのは無かったので良いかなあと。

『ドラゴンランス』

ドラゴンランス(6) 天空の金竜

たぶん古典に分類されるんであろう作品。天から帰還した暗黒の女王に立ち向かう、さまざまな種族からなる仲間たち。女王の僕である邪悪なドラゴンを倒すために、タイトルにある伝説のドラゴンランスを蘇らせ・・・てな具合に話は展開します。

作品の一番の魅力は、今やファンタジーの世界ではお約束とも言えるキャラクター達でしょう。ドワーフ、エルフ、人間の騎士などなど、それぞれの行動規範にのっとって存分に活躍してくれます。もっとも「全員」が魅力的というわけにも行かないようで・・・よりによって主人公とも言うべき、一行のリーダーであるタニスに全く魅力が感じられませんでした。

彼には、ハーフエルフの私生児という出自だったり人間・エルフの女性との三角関係だったりと、そこらの脇役とは訳が違うと言わんばかりの設定が付与されています。恐らく作品に幅と深みを出そうという意図があったと思うのですけど、この点については成功しているとは言いがたいんじゃないでしょうか。彼が前面に出てくると途端に読むのがおっくうになるんですよね。書き手が設定を消化するのに手一杯という感じで、これは全く個人的な感想でもなかろうと思うのですが。

他にも、お前よりレイストリン(魔法使い)の方がよっぽど役に立ってるじゃん、とか言いたいことはまだ出てきそうなんですけど、他のキャラクターの活躍はそうしたことを補って余りあるものですし、ドラゴンの大部隊というモチーフは想像力を大いに刺激してくれます。作品自体は大変面白かったので悪しからず。

『ドラゴンランス』1~6巻
マーガレット ワイスほか 著/安田 均 訳
エンターブレイン

『女王エリザベス』

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1939年、マイケル・カーティス監督。

イングランド女王エリザベス1世とエセックス伯ロバート・デヴァルーの恋物語。お互いに愛し合いながらも、権力への野望を捨てられないロバートと国への忠誠を捨てられない女王エリザベス。特にエリザベスの、恋人と国家の間で揺れ動く心の様子が丹念に描写されており、ベティ・デイヴィスの妖怪のような風貌(失礼!)と相まって何とも言えない渋い作品となっています。

Amazonで見る限り現在単品では発売されておらず、エロール・フリンのDVDボックスに収録されているのみのようです。

『ジャンヌ・ダーク』

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1948年、ヴィクター・フレミング監督。

ジャンヌ・ダルクについてはどこまでが史実でどこまでが虚構なのか、私はよく知らないのですけど、割と新しいミラ・ジョヴォヴィッチ主演の映画と進行的には非常に似通っています。違いはダスティン・ホフマンが出るかどうか、位のものではないかと。

しかしながら、観た印象は全く別。正直一寸アレな人にしか見えないミラジャンヌに対して、イングリッド・バーグマン演じるジャンヌはまさに聖少女。戦場においてもあくまで可憐なその趣は、完璧に整ったメイクといいリアルさには欠けるかもしれませんけれども、好みとしては断然こっち、です。

映像はさすがに古さが目立つものの、コスチュームのデザインも秀逸で、中でもジャンヌが着る甲冑の優美なラインは特筆ものかと思います。いささかマニアックな見方ですが(笑

『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』

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2005年、ジョージ・ルーカス監督。アナキン少年がフォースの暗黒面に堕ち、ダース・ベイダーへと変貌を遂げるさまが描かれます。

とりあえず映像面では前作よりも楽しめました。右のらくがきに描いた生き物とか、とてもよく出来ていたと思います。ただなまじ前述のドラマがある分、前作以上に割り切りも必要というか・・・よくない方に「うそーん!?」な展開。

いっそ「朝起きたらダース・ベイダーになっていた」とかでも(以下略

『アイスウィンド・サーガ』

アイスウィンド・サーガ〈1〉 悪魔の水晶

ダークエルフの主人公ドリッズトとその仲間たちが活躍する物語です。舞台となるフォゴットン・レルムはダンジョンズ&ドラゴンズというテーブルトークRPGのために設定された世界。

様々な部族が入り乱れての大規模な攻城戦は、指輪物語のヘルム峡谷の戦いを彷彿とさせますが、戦闘が序盤と終盤、同じ場所で全く異なるシチュエーションで繰り広げられるのがミソです。物語の進め方としてはイベントの発生→解決の繰り返しで結構ワンパターンというか、良くも悪くもゲームっぽい印象を受けるのですけど、そんな事はお構いなしで先を読みたくなる面白さがあります。

この作品、廃刊になっていたシリーズを順次復刊させているようなのですが、現在出ているのは3巻まで。エピソードとしてひと区切りついてはいるものの、早く続きが読みたいもんです。

『アイスウィンド・サーガ』1~3巻
R.A.サルヴァトーレ著/風見潤 訳
アスキー/エンターブレイン

『スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』

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2002年、ジョージ・ルーカス監督。

エピソード1を映画館で観て以来ほったらかしだったスターウォーズ。今回もCG、CG、またCGという感じで「これ絶対趣味だけで作ってるだろ・・・」と思いつつ観てたんですが、これだけやりたい放題やられると終いにはこれはこれで良いのかしらん、という気がしてくるから不思議なものです。とりあえずエピソード3も観ておこうと思います。