Home/Blog/

『不思議の国のアリス』

不思議の国のアリス

内容については今更説明するまでもないでしょう。本書ではアーサー・ラッカムの挿絵が収録されています。アリスはちょっぴりおしゃまな感じ、地下の住人たちはリアル・・・というより時にグロテスクとすら思われる存在感をもっていきいきと描かれています。動物達の描写にはなんとなく北斎を思い出しました(いや、似てはいませんけどね)。とても美しくはあるものの、子どもが見たら怖がるんじゃなかろうかとちょっと心配にならないでもなく。

それにしてもカラーの挿絵は以前にもみていたのですが、挿絵本来の形―物語を読みながら目にすると、一段と魅力的です。さらに本文中ペンで描かれたモノクロのカットも多数挿入されており、これらがまた大層素晴らしい。より軽妙とでもいいますか。挿絵画家ラッカムの力を再認識いたしました。

しかし今更とは言いましたがこのお話、改めて面白いというか可笑しいですね。久しぶりに漫画ではなく読書で声を立てて笑ってしまいました。

『不思議の国のアリス』
ルイス・キャロル/高橋康也・高橋迪 訳
新書館

『仔犬のローヴァーの冒険』

仔犬のローヴァーの冒険

トールキンによる、『ホビットの冒険』や『指輪物語』に先立つ初期の作品です。意地の悪い魔法使いにちょっかいを出したために小さなおもちゃに姿を変えられてしまったローヴァーが、さまざまな冒険に巡り会う・・・というお話。

もともとは自分の子供達に語って聞かせた物語を膨らませていったものだそうです。実際、序盤では荒唐無稽なほら話というのが率直な印象でしたが、物語が進むにつれスケールは大きくなり、緊密度も増してぐんと面白くなってきます。登場する三人の魔法使いがそれぞれどことなくガンダルフを連想させるのも魅力のひとつと言ってよいでしょう。キャラクターとしてより原始的な分、「偏屈なじいさん」的な性格がより強く出ている気がします。

『仔犬のローヴァーの冒険』
J.R.R.トールキン著/山本史郎訳
原書房

美術展『パリへ―洋画家たち百年の夢』

東京藝術大学大学美術館にて、6月10日(日)まで。

「日本の洋画」にスポットをあてた展覧会。展示形式は大雑把にみると黒田清輝を中心とした前半部と、佐伯祐三、藤田嗣治らの後半部に分かれています。

黒田清輝は今回のお目当て、と言っても美術の教科書とかでみる人―レベルの認識だったのですが、重要文化財に指定されている『湖畔』をはじめ、さすがに見ごたえがありました。絵全体から凛としたものが感じられ、肌の表現に独特の風味があります。

後半は好みの都合で素通りしたものの、展示内容はそこそこっぽかったので、両方お好きな人であれば贅沢な楽しみ方が出来そうです。平日の昼過ぎでしたが、年配層を中心に結構客も入っていました。

『エラゴン 遺志を継ぐ者』

2006年、シュテファン・ファングマイアー監督。

平凡な少年が実はドラゴンに選ばれしドラゴン・ライダーで、ドラゴンと共に戦う・・・てなお話。小説が原作ですが未読です。

うーん。とりあえず退屈はしませんでしたけど。中盤まではジェレミー・アイアンズをはじめとする脇役陣でもたせ、終盤はCGでゴリゴリ押し切る・・・といった趣があり、お話としてはかなりベタです。多分原作ではあるだろう、主人公がさまざまな葛藤を乗り越えて成長していく的な描写を一切省略し、事ある毎にほいほいレベルアップしていく様にはある種の潔ささえ感じるものの、やっぱり一寸なんだかなあ。原作との関係はわかりませんが話終わってないし。

ドラゴンがらみの映像はなかなか面白かったですし、さくっと割り切って見るのがよろしいかと思います。

私信ながら拍手お返事

WEB拍手で時折頂戴するコメント、ありがたく拝見しております。普段お返事はしてないのですが、思いがけない方からコメントを頂いたので、少々失礼して。

・・・本当にお久しぶりです。大変嬉しいコメントありがとうございました。ちょっと奇声をあげてしまいました(笑) 今後とも、たま~にでも覗いてみてやってくださいませ。

バックハウス

070430.jpg

図書館でヴィルヘルム・バックハウスの演奏を収録したDVDをみつけました。バックハウスは往年の大ピアニストで、演奏の素晴らしさは言うに及ばず、加えて比類のない、実にいい面構えをなさってます。それをとくと堪能できるのは映像メディアならでは、ですね。

Illustration更新

「王妃」をアップしました。あんまり王妃らしくない王妃です。半ば習作っぽいですが。

トルコギキョウ

070424.jpg

「これ桔梗?」と思ったらまったくの別物で、「トルコねえ」と思ったら北米産なんですって。なんじゃそりゃ。もう少し花が開ききってからの方が綺麗でしたね。また色塗り損ねちゃった。

『シェイクスピア物語』

シェイクスピア物語

書店でぺらぺらとめくっていたら、挿絵がアーサー・ラッカムだったので衝動買い。作品自体は19世紀初頭に出版されたものの和訳で、シェイクスピアの有名作11篇が散文の物語に仕立てられています。各々はそれこそあらすじ程度の分量ですが、「こういうお話」というのがわかりやすくまとめられていると思います。

ラッカムの挿絵は「夏の夜の夢」「冬物語」「お気に召すまま」「ヴェニスの商人」「リア王」「マクベス」「十二夜」「ロミオとジュリエット」「ハムレット」の計9点。割とリラックスした感じのペン画ですが、皆とてもいい表情をしています。中でも「十二夜」のヴァイオラ、ちょっと困っちゃったような表情と仕草がお気に入り。この作品は未読だけど面白そうなので今度読んでみよう。

『シェイクスピア物語』
ラム著:矢川澄子訳
岩波少年文庫

ひまわり

070412.jpg

スーパーで売ってたので買ってみました。随分早いですね。殺風景な私の部屋には不釣合いなほど色鮮やか・・・と言いつつ鉛筆で。