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『ケルト神話 黄金の騎士フィン・マックール 』

ケルト神話 黄金の騎士フィン・マックール (ケルト神話)

アイルランドの伝説上の英雄フィン・マックールと彼の率いるフィアンナ騎士団の物語。個々に伝わる物語を著者のサトクリフがひとつの大きな物語に仕立て上げたもののようです。妖精族(ダナン族)や魔法が頻繁に登場し、全体を通じて幻想的な雰囲気に満ちています。貞節に欠ける妻との恋に落ちる腹心の部下、大きな戦による劇的な最期など、アーサー王の物語を思わせるモチーフも随所に見られ、どういった関連があるのかちょっと興味深いところです。楽しめる物語だと思います。

『ケルト神話 黄金の騎士フィン・マックール 』
ローズマリー・サトクリフ著/金原瑞人・久慈美貴訳
ぽるぷ出版

『ジョン・ボールの夢』

ジョン・ボールの夢 (ウィリアム・モリス・コレクション)

語り手である「私」が14世紀イギリスは「ワット・タイラーの乱」渦中の村にタイムスリップし、指導者のジョン・ボールと対話するというお話。

モリスの社会主義思想がモロに反映されていますが、思想的側面に関心がなくとも(私はそう)、普通に歴史小説として楽しめます。本当に見てきたかのような、しつこい位に細かい描写には恐れ入るばかりで、その綿密な事といったら彼の描く装飾文様さながらです。まあこの辺は彼の魅力のひとつである反面、とっつきにくさにも繋がっている気がしないでもありません。装飾文様を形づくる線一本一本を目で追うようなしんどさ、とでも言いましょうか(^^;

当時の社会制度や弓を主体とした戦術に関するものなど、注釈が大変充実しています。

『ジョン・ボールの夢』
ウィリアム・モリス著/横山千晶訳
晶文社

『ペンで描く―スケッチから細密描写まで』

Web拍手でいただいたコメントでペン画の技法に関するものがありましたので、私が世話になっている書籍をご紹介します。参考になれば幸いです。

『ペンで描く―スケッチから細密描写まで』
A.L.グプティル著
マール社

ペン画について基本的な事から高度な表現まで網羅した、詳細な解説書です。現代のマンガの表現とはやや立ち位置が異なるものの、マンガを描く人にとっても参考になる部分は多いのではないでしょうか。

まず入口ではペンによる線の引き方やクロス・ハッチなどの様々なトーン表現について、練習方法も含めて丁寧に解説されています。

続いて構図の取り方や濃淡によるコントラストの表現など、絵全般に通ずる基本的な知識と技法。おそらくデッサンの基礎的な知識があるとなお良いのでしょうが、作例も豊富で分かりやすい内容です。

更には植物や建物など具体的な事物について、その表現方法を多数の作例と他の画家による作品をも交えて解説しています。思うにこの作品のチョイスが大変秀逸で、絵のジャンル・画風ともにいずれもハイレベルなものが多岐に渡って掲載されています。著者による解説・作例自体、同じ物を描くにも無数の表現手法があるという前提に立ったものであり、ペン画の奥深さを感じさせてくれるものとなっています。

ペン画の技法書についてはこれ以外読んだ事がないのですが、私自身はこれ1冊で十分という感じです。どう描いたものかと悩んだ時など、見返してみるといつも何かしらの示唆を与えてくれます。

アーサー王なイラスト達

興味深いサイトがあったのでご紹介。

アーサー王物語に関する文献・画像などあらゆるリソースを集積しようというロチェスター大学内のプロジェクト・・・なのかな?私の目を引いたのは以下のページ。

アーサー王物語を題材にしたイラストが多数集められています。ハワード・パイルのペン画を探していて偶然辿り着いたページで、どの辺りがアーサーなのかよくわからないような物もあるものの、なかなかお目にかかれない挿絵類がごっそり。数が多すぎるのでまだ全部は見ていませんが、全く知らなかった素晴らしい画家もいて、これは良いサイトを見つけたもんだと悦に入った次第です。

やっちゃった

ペン入れ中、手の下に敷いてる紙(ペーパーパレットを切って使ってます)にインクが付いてしまい、そのままズズズ・・・ゲッ!

反射的に用紙をグシャグシャーッと・・・冷静に見ればどうにか修正できるレベルだったと思うのですけど、やらかしてしまうとどうにもやる気を失ってしまうんですよねえ。デジタルならCtrl+ZでOKなんですが(笑)まあ結果的に最初のものよりいい感じになったので良しとしよう。

「森の少女」をアップ

「森の少女」をアップしました。木陰で動物達に語りかける不思議な女の子。優しい感じの絵が描きたいなあと思って描いたものです。

「Griffin」「Lizardfolk」をアップ

「Griffin」「Lizardfolk」をアップしました。以前描いたモノクロ画に着色したものです。

『マリー・アントワネット』

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2006年、ソフィア・コッポラ監督。

マリー・アントワネットと聞くと「パンがないならケーキを食え」と言ったなどという逸話が頭に浮かびますが、本作ではそうしたいわゆる悪女のイメージではなく、ただひたすら自分に正直に生きた女性として描かれています。

贅沢はするけれども、民衆が苦しんでいると聞けばちょっとは我慢もする。夫が妻として遇してくれない悩みからかグルメやお洒落に走り、子供に恵まれた後も好きになった男とは浮気をし、そうかといって夫への愛情が失せたかと言えばそうでもなく、結局夫の許へ戻り最後は運命を共にする・・・

主演のキルスティン・ダンストについては子供の頃は可愛かったのに・・・というイメージでしたが(ゴメンナサイ)、本作では美人とかそういうのとは違うレベルで、嫌味なところの無いとても魅力的な女性に映りました。

『シャルルマーニュ伝説』

シャルルマーニュ伝説 中世の騎士ロマンス (講談社学術文庫)

8世紀フランスに実在したシャルルマーニュ(カール大帝)とその配下の騎士たちの活躍を描いた物語。15~16世紀にイタリアの詩人によって作られた複数の叙事詩をブルフィンチがまとめた、という性質のものです。

国王とその取り巻きの物語、という点はアーサー王の物語とも共通していますが、円卓のような仕掛けもなくグィニヴィアのような強烈な后も登場せず、物語をとりまとめる求心力は今ひとつ弱い気がします。さらに上記の成り立ちもあってか、時と場所がコロコロ変わるので前の展開を忘れてしまうことも。

しかしながら個々の登場人物とエピソードはそれぞれ魅力的です。全体的には暗い基調の話が多い印象ですが、とりわけロジェロやオルランドの物語のクライマックスはグッと来るものがありました。フランス中世文学集に収録されている「ロランの歌」はこのオルランドの最後の戦いを歌ったもので(ロランはオルランドのフランス語形)、展開は両者で異なるものの、どちらも感動的です。

『シャルルマーニュ伝説』
トマス・ブルフィンチ著/市場泰男訳
講談社学術文庫

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