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『アイスウィンド・サーガ 暗黒竜の冥宮』

アイスウィンド・サーガ 暗黒竜の冥宮

ダークエルフの主人公ドリッズトとその仲間たちが活躍する物語。全3部作のうち以前紹介したものが第1部、本作は第2部にあたります。

本作の実質的な主人公はドワーフのブルーノーでしょう。追うものと追われるもの、さらに登場人物それぞれの思惑などが絡み合いながら物語は進行していきます。テクニックとしては前作より高度なのでしょうけど、ちょっと勢いというか、読者を引き込むパワーは落ちたような気がしないでもなく。キャラクターの魅力で押し切る、という要素が減っているのも一因かと思います。彼自身の冒険ではないので仕方ないとはいえ、ドリッズトがあんまり活躍しないんですよね。彼が直面する問題が彼の内面にとっては非常に重要であっても、読む側としては必ずしも。。最後があからさまに「つづく」なのもちょっと不満です。面白いんだけど、理屈抜きでとにかく面白かった前作に比べると・・・という感じかな。

『アイスウィンド・サーガ 暗黒竜の冥宮』
R.A.サルバトーレ著/府川由美恵訳
アスキー・メディアワークス

『カレワラ物語―フィンランドの神々』より、挿絵3点

『カレワラ物語―フィンランドの神々(岩波少年文庫)』で描かせていただいた挿絵の中から3点をアップしました。それぞれ「ちょっと変わったイメージの絵」「ババーンて感じの絵(笑)」「お気に入りの絵」という基準で選んでみました。

『カレワラ物語―フィンランドの神々(岩波少年文庫)』

岩波書店様より発売された『カレワラ物語―フィンランドの神々(岩波少年文庫)』にて、カバーおよび本文中の挿絵を描かせていただきました。

「カレワラ」はフィンランドの民族的叙事詩。本書は全訳も手掛けられている小泉保先生により、読みやすい散文の物語として今回新たに書き下ろされたものです。

物語は全18章からなり、ほぼ章ごとに18点の挿絵とカットを描いています。場面の選択も含めて相当自由に描かせていただき、自分でも好きだなと思える絵になっています。親しみやすい「カレワラ」の書籍は少ないですし価格も大変お手頃ですので、興味をお持ちの方は是非読んでみてください。

カバーイラストをギャラリーにアップしました。挿絵の中からも数点、ご紹介させていただく予定です。

以下は蛇足・・・というか個人的な話。

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『The Book of Pirates』

The Book of Pirates

ハワード・パイルによる、幾つかの海賊の物語とイラストを収録した一冊。正直に書きますがテキストの方は全く読んでいないのでどんな内容か分かりません(汗)イラストは相当の数が収録されており、油絵・版画・ペン画といずれも見ごたえのあるものばかりです。油絵については一部を除くとモノクロの割合が多く、カラーもあまり質が良いとは言えないのが残念ではあります。個人的に一番好きなのはペン画で、デザイン的な構図や現代のマンガを思わせる大胆な簡略化、デフォルメなどには思わず唸らされるものがあります。

まあ本来はテキストも読んでなんぼでしょうが、そうバカ高い本でもないのでパイル大好きっ子な方なら買っても損はないかと思います。ちなみにこれ、「海賊」の挿絵を描かせていただいた際に購入したのですけど、パイルのイラストはそれぞれが「一枚の絵」として高度に完成されているので「資料」としては期待したほど役に立ちませんでした。。

「ねこ」をアップ

「ねこ」をアップしました。早いものでもう11月ですね。山茶花の咲いているのをちらほら目にしますし、朝晩の冷え込みも厳しくなってきました。マフラーを巻いた女の子も増えてくる事でしょう。

「獅子の騎士」をアップ

「獅子の騎士」をアップしました。展示しているものとしては結構久しぶりの甲冑絵です。マントなんかは適当ですが、個人的にこういうスタイルが一番カッコイイと思ってます(笑

Evening Mood

081009

ブーグローの模写なんですが、勝手に背景を作り変えて色も好きなように塗っちゃってます(^^; 2003年だったか、openCanvas2で描いたもの。当時はとてもよく描けたと思ってたんですけど今見ると腰のくびれとか変ですね。まあ大抵の絵は時間が経ってから見直すと、どこかしら「あれ?」ってのがあったりします(笑

テラスにて

081008

エドワード・ジョン・ポインターによる作品の模写。2003年に描いたもの・・・って5年前かー。Painter classicを使用。確か水彩ブラシの色はスポイトで拾えなかったんですよね。当時は人体の骨格とか筋肉のつき方なんか全く解ってなくて元絵だけを頼りに描いてるんですが、まあよく頑張って描いたと思います。今じゃ模写でここまでやる気力はないなあ(^^;

イカロス哀悼

081007

ハーバード・ドレイパーによる作品の模写で、2004年頃に描いたもの。Painter6を使用。我ながらよく描いたなあ・・・

この前年位に東京藝術大学美術館で『ヴィクトリアン・ヌード展』というのがあって、この作品も来ており圧倒されました。他にもポインター、レイトン、ウォーターハウス・・・今思うとあれば神展覧会でした。

『ジョン・エヴァレット・ミレイ展』

Bunkamura ザ・ミュージアムにて、10/26(日)まで。

ミレイと言えばラファエル前派の画家で「オフィーリア」の作者・・・といったところがミレイに対する私の認識で、他には「両親の家のキリスト」など数点の作品を印刷等で目にした程度でした。「オフィーリア」は異常なまでに徹底した細密描写に圧倒されるものの、逆にその徹底振りがどこか無機的というか、オフィーリアの瞳も鼻も唇もそこらの葉っぱと同じレベルで捉えているんじゃないかなどと思われたりもして、ちょっとな~という印象も持っておりました。とか言っといてナンですがまあ「オフィーリア」についてはですね、死ぬまでに一度は現物を見ておいて損は無いですよやっぱり。もうね、凄い。クラクラ来ました。解りにくい表現ですみません。。

展覧会として興味深かったのはむしろ上記のような私の認識にはなかった部分、プロブレム・ピクチャー、本の挿絵、ファンシー・ピクチャー、肖像画といった分野の作品たちで、これらの作品には作者の柔らかな目線の感じられるものも少なからずありました。中でもファンシー・ピクチャー(子供や若い女性を描いた風俗画の一種)に属する作品、ミレイの娘をモデルにした「初めての説教」「二度目の説教」にはモデルを務める娘の緊張した様子だったりそれを見つめるミレイの眼差しだったりが伺われて、思わず頬がゆるみました。

本展を観た感想として、彼には「ラファエル前派の画家」というよりも「ヴィクトリア朝の画家」という形容がまさにぴったり来るように思います。観る前よりもミレイが好きになりました。