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『レジェンド・オブ・サンダー』

2004年、ギリーズ・マッキノン監督。

スコットランド女王メアリーと、その息子でエリザベス女王の死後イギリス王位を継いだジェームズ1世(スコットランドではジェームズ6世)のお話。

なんと言うか、えらく冷めた視点で撮られているのが印象的でした。殺戮シーンだろうがベッドシーンだろうが、盛り上げるでもなくぼかすでもなく、淡々と繰り広げられます。それでいて展開には緊張感があり、なかなか楽しめました。

ところでこの作品、二人の主人公それぞれに焦点をあてた前後編に分かれているのですが、ほとんど別の作品と言ってよいくらい、作品内でのつながりはありません。まあいきなり後編だけ観ても訳がわからないとは思いますけど。前編にあった思わせぶりな台詞や行動、果ては登場人物そのものが、後編では見る影も無くなっていたのはちょいと残念ではありました。

ちなみにAmazonでは「ブリティッシュ・キングダム DVD-BOX」というセットで売っているようです。この内の「THE LION IN WINTER 冬のライオン」も大変面白かったんで欲しい気もするんですけど、如何せん高い・・・

花冠

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全然関係ないんですけど、かなり目がかゆくなってきました。

『妖精の女王』

同名の本を2種類。

妖精の女王〈1〉

『妖精の女王』

エドマンド・スペンサー著:和田勇一・福田昇八訳:ちくま文庫(全4巻)

昨年来少しずつ読んでいたのをようやく読了。作者のエドマンド・スペンサーはシェイクスピアとほぼ同世代の詩人で、英国はエリザベス女王の治世です。物語は大きく六つのエピソードに分かれ、それぞれ主人公となる騎士が任務を果たすべく冒険を繰り広げます。

「むかしむかし・・・」という体裁をとってはいますが、「妖精の女王」とはすなわちエリザベス女王の事です。また、「身分ある人々に道徳的訓育を施すこと」がこの詩の主要な目的であると作者自ら語っているだけあって、おべっかや教訓臭が少々鼻につく面はあるものの、純粋に物語として読んでも十分楽しめるものだと思います。竜退治あり、お姫様救出あり、魔女やら黒騎士やら、神さまだってぞろぞろお出ましになるよ~ってな具合。そして主人公の騎士は冒険の過程で幾多の試練を経て「徳」を身に付けていく・・・訳者解説によれば「ファミコンゲームの格好の素材となっている」そうです(笑

訳は大変読みやすいものだと思います。注釈も親切。突然知らない名前が登場して何のこっちゃ、なんて事はありませんでした。

『Illustrations and Ornamentation from THE FAERIE QUEENE』

Illustrations and Ornamentation from the Faerie Queen (Dover Pictorial Archive Series)

ウォルター・クレイン

こちらはウォルター・クレインによる挿絵集、いや独立したイラスト集と言った方がいいのかな。100点を超えるモノクロイラストが収録されています。本体を読む前に購入していたんですけど、少し眺めた程度でずっと本棚に眠っていたのでした。

改めて見るとこれが凄い凄い。一見しただけで、どの場面を描いたものかすぐわかる。膨大な登場人物を描き分け、画面全体を埋め尽くす描き込みに圧倒されます。装飾枠もそれぞれ違ったデザインになっているんですよ。しかも絵の内容とリンクするものだったりする。一体1枚あたりどれ位の時間で描いたんだろう・・・

『ロビン・フッド物語』

岩波新書。中世から現代に到る各時代のロビン・フッド像を考察、紹介したもの。流し読みだったんですが、大変魅力的なイラストが紹介されていたのでメモ。

ハワード・パイル(1853-1911)
『ノッティンガム州の高名なるロビン・フッドの愉快な冒険』

絵本チックな作品のようで、絵と装飾と物語(文字)が見事に融合した緻密なペン画。いずれ要チェック。

『トゥルー・ナイト』

レンタル店で置いてないと思ってたのをひょっこり発見したので早速借りてみました。1995年、ジェリー・ザッカー監督。

物語はアーサー王伝説をベースにしていますが、バリバリのアーサーものという雰囲気は希薄で、むしろ三角関係の設定だけ借りて来ている感じです。とは言え円卓なんかはちゃんと登場します。全体的にはそつのない作りというか、安心して観られる作品だと思いました。ただ甲冑は妙にダサイです。

印象的だったのはイメージカラーとして青が多用されている点。それもくすんだ青ではなくて、深みのある、かなり鮮やかな青です。この手の映画では地味系の色で統一されている事が多く、私自身ついそういう先入観を持って見てしまうのですけど、中世の絵画や写本などを見ると結構どぎつい色も多く使われているんですよね。してみればこういう色使いでも不思議はないのかも、ともあれちょっと新鮮でした。

しかしこの作品に限りませんが、アーサーはどうも損な役回りですね。元がそういうお話なので仕方ないんでしょうけど、ショーン・コネリー扮するアーサーもやっぱり嬉しくない最期を迎えてしまうわけです。ランスロットがグィネヴィアの部屋を訪ねるシーン、この作品の展開だったらそのまま城を去り、寂しげな後ろ姿でジ・エンドってのもありだったのではないかしらん。

・・・ないか。

Geraint and Enid 5

「ジェレイントとエニド」の5作目をアップしました('O me, I fear that I am no true wife!')。この連作もようやく五合目(多分)。勇ましさを忘れた夫を嘆くエニド。しかしそんな彼女を、ジェレイントは誤解してしまいます。

Web拍手を送ってくださった方、大いに励みになってます。本当にありがとうございます。

『世界らん展』

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その名の通り、ありとあらゆる蘭を集めた展示会です。10時の開場直前に到着したのですけど、ドーム前には既に入場待ちの人の群れが。会場内も相当な混雑振りで、人波をかいくぐって見てきました。品種などの知識は全くないものの、地味なものから見るも鮮やかなものまで、趣向を凝らした展示も数多く、堪能して参りました。東京ドームにて、2/26(日)まで。

『喰いタン』

日テレのドラマ。ドラマは殆ど見ないのですけど、何故かこれだけ見ています。馬鹿馬鹿しいノリで押し通しているのが好き。

『ラファエル前派の夢』

図書館で借りてきて読みました。

ラファエル前派というと、19世紀中頃の英国における美術史上の一潮流で、ロセッティやミレイがこれに属する・・・程度の事は知っていたんですけど、要はその程度しか知らなかったわけです。

本書はラファエル前派同盟の結成のいきさつから後世に与えた影響に到るまで、主要な人物に焦点を当てながら論じています。焦点が切り替わる度に時系列が前後するので、読んでいる最中は少々解り難さもありますが、ひと通り読めばなるほどと理解出来る、といった感じです。・・・それでも説明出来る程には理解してませんけど。

ところで私はポインター、ウォーターハウスといった画家達がお気に入りなんですが、本書では全く、名前すら登場しません。彼らも広い意味ではラファエル前派に含まれるんだろうと考えてたんですけど、違うようですね。古典派?とか何とか。今度はその辺のところをあたってみようと思ってます。でも、この時代の英国の画家って「西洋美術史」という括りでは殆ど無視されているような。手頃そうな本をなかなか見かけないんですよね・・・

『ラファエル前派の夢』
ティモシー・ヒルトン著:岡田孝彦・篠田達美訳
白水社

『アレキサンダー』を

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観ました。アレキサンダー大王の話・・・ってそのままですが。

最初は凄い映像だな~と思って観ていたんですけど、前半のクライマックスである合戦シーンあたりから完全にダレてしまい、途中一部早送りにしてしまいました。やはり長過ぎでしょう。シーン毎の尺が無駄に長いというのか、計3時間近くになる作品なんですが、普通にまとめるつもりで編集すれば2時間で充分に収まる気がしました。長けりゃ超大作か?と。

話そのものは可も無く不可も無くといったところで、大いなる夢を抱いて出征したアレキサンダー一行が次第にグダグダになってゆく様子など、個人的には長過ぎなければ普通に楽しめたと思います。また、はじめにも書きましたが絵的には見所満載で、衣装やセットも細かい所まで実によく作り込まれています。資料映像としてみるなら出色の出来と言ってよいと思うのですけど・・・ねえ。